人間はともすれば自己中心で、自分勝手で神の意に沿う者は少なく、決して褒められた存在ではない。そのような人間社会は漆黒の闇に包まれて地獄の様相を示すはずなのに、その社会にも僅かながらも、ほのかな光に包まれ、神にその存在を許されるのは何故か?

 その理由はこうである。

 こんなにも愚かな人間でも、誰かにとっては神の存在であり、その証拠にその人が死ねば涙を流す人は必ずいる。

 又、ある日こんな事を考えながら私の弟子が町を歩いていると、車椅子に乗った老婆が道路に車輪を挟まれ転倒した。すると人が多く集まるばかりか、学生やヤクザまでが駆け寄り、「どこか怪我していないか、大丈夫か、病院へ連れて行こうか?」と優しい言葉をなげかけるのを聞いて、私の弟子はその老婆に合掌して思った。( 一見何の役にも立たないと思われる老婆も、人の佛心をよみがえらせる)佛なのだと。

 


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