突拍子もなく自動車の運転について語るこの男は一体何者だと思われるだろうが、よく読み理解してもらえれば、その疑問が明白となるのでゆっくりと心で読み、理解してほしい。

 初心者が車を運転する。
右にハンドルを切り過ぎたとしよう。
その時、慌てて左にハンドルを切れば車は思わぬ方向に向かう。
また慌てて右に切れば、車は大きく方向を変える。
それを繰り返すうち車は蛇行を始め、ついには道路から外れ、脱輪してしまうだろう。
 しかし練習を繰り返した熟練者は、右に曲がろうとする寸前に少し左にハンドルを切り、左に曲がろうとする寸前に右に切って修正することができる。
さすれば、車はまっすぐに前進する。
それを教えるのが自動車教習所の教師なのだ。

 聖者マホメットも、ハンドルを右に切り過ぎた人には「左に切り返せ」、左に切り過ぎた人には「右に切り返せ」と、逆のことを教えたとしても何ら不思議はないのだ。が、教えられた者は右を教えられれば右と信じ、左と教えられた者は左に固執する。そして両者は対立する。双方は、その人その人の劫と癖の違いによって、教えられたことの真を知らずに対立するばかりか、その争いは、互いに殺しあうところまでエスカレートしてしまったのだ。

 


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