我が生命(いのち)
我が生命(いのち)の一滴よ  
世なる水面に落ちて波紋となれ
我が生命(いのち)なる風よ 海原に吹け 
岸に寄せ来て潮騒(しおさい)となれ
我が生命(いのち)の燈(ともし)(び)よ  
世の生命(いのち)に移って永遠(とわ)に燃えよ
我が生命(いのち)はその為に来たり  
我が生命(いのち)はその為に果てん

道標(どうひょう)
地獄の道あり 人の道あり 佛(ほとけ)の道あり
自己を欲しいままに振る舞う地獄の道
自己を抑えて人と継(つな)がる人の道
自己を捨て佛(ほとけ)と継(つな)がる佛(ほとけ)の道
世に三界の道標(どうひょう)あり 己の道を選ぶべし

男よ
お前の涙はどこへいった
何故心の底から笑えぬ
何故口が重い
何故厳しい顔をする
何故感情を表に出さない
そうさ男は
頼られても頼る事のできない
一家の先守(さきも)りとしての掟に従い
只一人 厳しい決断と選択と
勇気と忍耐と努力を強いられる
だから男は
雪原をさすらう孤狼(ころう)のように
淋しさに耐え 苦しさに耐え
悲しみに耐えることを覚え
口の重さを身上とし
心を隠す事によって身を守る
だから男はいつからか
涙を心の奥に押し込み
心を閉ざして孤独を愛し
酒酌(く)み交わしても
心酌(く)み交わす事がない
心を開くまい
心を開くと弱さがでる
涙を見せまい
涙を見せると心が崩れる
しかし男よ
その全てを見せて生きる男が
真に勇気ある強き男なのだ。

男の渋さ
陰影が景観に深みを見せるように
よい部分だけを見せようとする男は薄く
男の善と悪 光と闇の罪深さが
男の底知れぬ深さと渋さを見せる

平成14年4月11日 (路傍の地蔵 瀬川 宗一)

 

 


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