キリストの白書

人は知恵もつが故に 肉親や家族を愛する思いは強く
 その思いが内に熱く 外に冷たい人特有の心を作り出し
人に対して冷淡で無関心で 相手の痛みを感じなくなれば
 最早あなたに闘争本能の芽が顔を出し 人は弱肉強食の獣となる

しかして敵を葬り 死肉をたらふく食うため戦いを挑み
 その殺戮や略奪や破滅を美化するために 平和の大義を掲げ
肉親への愛を他への憎しみに変え 神の知恵を悪魔に譲り渡して
 人類は相互淘汰の神の摂理に従い 人類は破滅の道をひた走る

人は神の知恵もつが故に 文化や文明が流通し世界が栄えたのに
 同じ知恵で自分が滅亡する  兵器や武器を作りだし際限もなく争い
この神が創り給うた楽園を ダンテの地獄にして苦しみのたうち
 巷に憎悪と呪いと恨みに満ちた 阿鼻叫喚の声が天にまで届く

人よ、よく聴け。平和を創り出す戦士は戦うことではなく 話し合うことである
 共に相手を理解するために話し合い 我慢と譲り合うことを覚えることである
強者の力を持ってする覇権に 弱者の反発と抵抗は限りなく続き
 人が人を殺そうとし 国が国を滅ぼそうとして
隣人の富と繁栄を力によって 奪う限りにおいて
 あるいは受けた傷や心の痛手を 復讐で解決せんとする限り
闘争と殺戮と破壊は人類の上に輪廻して 人は人によって滅び
 エデンの園での神の予言を果たして 人類は幕を降ろすだろう

人よ 神なる我はあなた方の傍観者ではなく 同伴者である
 故に我が想いは天地の狭間に充満し あなたの内に宿って良心となる
良心はあなたのナビゲーターとなって 人類の未来を見通し警告する
 故にこそ云わん 人々と手を繋ぎたくば 先ず自らが手を差し伸べよ
愛されたくば先ず愛し 尽くされたくば先ず尽くせ
 相手も自分も同じ人間なら 悲しさも苦しさも寂しさも等しきと知れ
そして友愛は先ず相手を理解することから始まり そこに同情が生まれ、
 我々は神の名において等しく子であり 人類が兄弟なることを知るだろう

2001年4月20日  瀬川 宗一