人は肉体をもって生きるため、人間としての神の性と、獣としての野獣性を心の闇に住まわせる。そして一度戦争ともなり勝者となって生殺与奪の権をにぎると、弱者に対して野獣性を遺憾なく発揮し、人間性を喪失したかのように相手に残虐の限りを尽くす。
その野獣性を遺憾なく発揮しているのが、今のアメリカの隠すべきもない真の姿ではなかろうか?アメリカは建国以来一度も外国に負けたことはなく、まして米本土で戦った経験がないので、国内を蹂躙(じゅうりん)され残虐の限りをつくされて打ちひしがれた、絶望的な苦しみや悲しみや痛みや、ましてや相手国に対しての根強い恨みや憎しみや復讐心を味わった経験がないからだ。
かつての日本もそうだったが、その日本がアメリカの徹底した無差別空爆で国土を焼け野ヶ原とされ、日本本土である沖縄は思うままに蹂躙(じゅうりん)され、最後は今も世界に例のない原子爆弾で膨大な死者を出して留めを刺された日本人は、近代戦争の残酷さを徹底的に味わった最初の国なのだ。
だから、戦後連合国から強要されたかに見える憲法第9条の戦争放棄は、当時の日本人は心の底から納得したのだ。
幼い子は痛みも苦しみも知らないから、平気で虫やカエルの手足をもぎ足で踏みつけ殺してしまうように、人が肉の獣性から脱皮するためには、体験するか学ぶしか方法がない。
日本の昔の学校では知育と体育の他、徳育という修身教育があったが、何故かその教育は軍国主義の復活につながる、といって事実上廃止してしまった。
そのため、道徳や義理人情の世界を学ばず成長した日本人は、同情や愛国や孝行の二字の意味さえ知らない心の欠陥者に育って社会の闇を深める。
さらには、日本以外のヘンリー渦巻く戦争体験した若者たちは、戦争で思いきり人を殺した経験から、自国に帰っても血なまぐさい殺人の味を忘れられず、平気で人を殺すことによって自己主張しようとして殺人を犯す。
しかも、世界の完備した報道機関は、正しいこと良いことより、悪いこと、非道なことの方がスクープ性ありとして騒ぎ立て、それを面白がる模倣犯まで現れて犯罪史上に花を添えるが、何と嘆かわしい世の中だろうか。