発 想
人生の体験深き者
時に骨を砕き 肉を裂(さ)
悪に心が動き 闇に身を委ねようとし
波乱に満ちた運命を受けてなお
心の素直さ清さを保ちし者のみが
悟りの彼岸に入る資格を有す
何故なら 彼は悪を知って善を知り
闇の反対が光であり
悪人の反対が仏なるを知るからであり
悪人正機(あくにんしょうき)是れなり
 合掌

愛へ向かう始まり
男が女に向かうのは 愛へ向かうはじまり
そして貴方を愛していると 太古からの呪文を口ずさみ
男は女の肉体を抱く
しかし 一度女の心の中を覗くと 出口のない迷路に足を踏み入れ
女の持つ計り知れない愛の深みと 肉をも溶かす情炎の世界に驚きたじろぎ
そして男は この男と女の違いは何なのかといぶかる
男は常にそれを心に問いかけながら 愛の遍歴を繰り返し
互いが互いを理解できぬまま 時刻(とき)はたち 四季は流れ
やがて男の髪に白いものが混じっても
男は女の心の中に見る 神秘の謎を解く事はできなかった
男は戸惑い 男が男である限り
その神秘の謎を解く事はできないのかと失望し落胆する
ある日 男は女神にお尋ねした
私は老いてその寿命は残り少ない
それなのに私は女を抱くが 女の奥にある心の謎を解く事ができない
女神よ 男は永遠に女を理解できないのですか とお尋ねした
すると女神はこう答えられた
男よ お前達は
女の肉体が美しいと云っては女を抱き
寂しいと云っては女を抱き
浮世を忘れたいと云っては女を抱くが
女はそんな男の言葉と行為を全身全霊で受け止め
一つとして忘れる事なく 肉に刻み 心に刻み
常に愛と真実とロマンを求めて生きている生きものなのだ
男よ お前達は常に物理的にものを考え 利得を計って理屈をつけ 
前を大切にし 前に向かって生きる生きものだが
女は常に過去に生きて 過去の思い出を大切にし
悲しみや切なさや むなしさややるせなさや 寂しさや苦しみといった
人の思いの全てを含んだ愛の中に生き はらみ 苦しんで子を産んでは
子への愛を肉に刻み 心に刻み
打算のない 真実の優しさや愛を夢見 愛を求め 愛に殉じ 豊かな愛の中で
その愛を失わない為 永遠ならしめる為に死にたいと思い願うのが女なのだ
  合掌

 


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