女の業(ごう)と宿命
一人の女がこの世に生まれた 彼女は成長し女となった
女は真実の愛を求めて男を待った
すると一人の男が女に近づき お前を愛していると
太古からの呪文を口ずさみ 女を抱き暫(しばら)くして去った
その女に多くの男が近づき そして去った
その姿は女という岸に寄せ来る波のようだった
波は狂ったように岸に寄せ来て 何事もなかったように岸を去る
しかし岸なる女は その都度心を絶望に追いやり
愛なる砂は波を追いかけ 傷ついた心は深間に入って死ぬ
女の愛の遍歴はそのように 去る波を迎えるように岸にあって波を待つ
その姿はかってエデンの園において 情念に燃える蛇の性を受け入れた
女の原罪ともいうべき 我が身につけた娼婦性にあるのだろう
そして女は自分自身の中に持つ処女性と 娼婦性の二面をからませて
時に白衣を纏(まと)って天に舞い 竜のように情念に身をよじらせ地獄を行く
しかし女はやがて地獄をも厭(いと)わぬ愛を覚え
愛に殉(じゅん)じ滅びを喜ぶ真愛の世界を知る時
女は体に纏ったウロコを払い 愛の光芒に身を包む聖観世音に変化する
ああ女よ
汝はその為に宛転于地(えんてんうぢ)の人生を幾度か転生し 脱皮を繰返し
肉によって生き 肉に苦しみ悶え 肉をとおして得たもので肉を離れ
次第にドロドロとした心は透明度を増し
至純にして至高なる愛の奥義を知る時
愛の合体においてピンクに輝き ピンクは反転してグリーンとなり
ついには何ものをも許し受け入れ
何ものをも慈愛に導く聖観世音にと昇華する


 女 〔深い海〕
強くて弱く 弱きが故に哀れなるもの
命短きが故に はかなき花を咲かせ
泉の淵を飾り 野をエデンの園と化して
肉なるオアシスに男を誘い
華のかんばせと 愛の蜜を与えて
果て無き 七色の虹と夢とロマンに導く
女は秘密を湛(たた)えた 深い海
蜃気楼のように 見えても近づけず
(つか)んで掴めないから 遠くから見よう
美しき花は離れて観るもの
美しき景色は遠く眺めるもの
そして その美しさを心に留めおこう
だから私は永遠の愛と美への夢追い人


 


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